2006年08月20日

【火皇家の日常:1】

注*これは物語り調になってます。苦手な方はお気をつけを

「お届けものでーす」

 そんな声とともに届けられたのは山梨産のとても美味しそうな桃、だった。
 うわーい、桃だーなんて思いつつ、差出人の名前を見るけれど、見覚えのない名前。けど、確かに受取人は僕の家…というか、兄さんなわけで、兄さんに届いたものなのは間違いないらしい。
 おりしもお盆休み、とかいってきっちりお休みをとってる兄さんは家にいるし、本人に直接聞くのがいいだろうな、なんて考えながらハンコを押した。

「兄さん、届ものが来たんだけど」

「んー…?」

「ほらこれ。兄さんの知り合い?」

 リビングでまったりくつろぎながら新聞なんか広げてくれてる兄さんの前に包みを出す。箱にはしっかりと「桃」の印刷。さすがに中身がわかりやすい。

「あぁ…会社の同僚だな」

「…なんでわざわざ?」

「山梨行くって言うから、送らせた」

「は……?」

「晴也、お前、好きだったよな?桃」

 そう言った兄さんは、極上の笑顔だった。一瞬おどしたのかな、なんて不穏な考えが頭をよぎる。……まぁ、兄さんがそんなことを悟らせるわけがないので追求しないでおく。

「う、うん。好きだよ?」

「なら、出所は気にするな。俺からのプレゼントだと思っとけ」

 ムリだろ、それ。
 突っ込みたいのは山々ながら、上機嫌に水をさす事もないだろう…。

「じゃぁ、ひやしておいて〜…夕飯にデザートで出そうか。父さんも喜ぶだろうし」

「父さんの分は必要ないだろ。お前のなんだからな」

「え?でも、一人じゃ多いよ」

「翠蓮やら紫水やらいるだろ?」

「緋蝶姉さんもよばなきゃね…?」

「あいつは、いらん」

 …なんで緋蝶姉さんとは仲が悪いんですか、兄さん…。差別は良くないと思うんだけどな……。

「あ、同僚さんにちゃんとお礼言わなきゃね」

 冷蔵庫に桃を仕舞いながらふと、くれた人のことが気になって言ってみる。

「必要ない。あいつも役に立って本望だろ」

 ……どうでもいいけど、兄さんの回りの人って、どんな人たちなんだろう。


 結局。
 あの桃は夕飯に下りてきた父さんに見つかり、ご飯の間中兄さんが終始不機嫌だった。なんだか「せっかく晴也のためなのに…」とか言ってた気がするけど、やっぱり平等に分けるべきだと思う…。
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posted by 火皇晴也 at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 火皇家の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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